接着剤の2つの役割
塩ビ管の接着剤で悩んでいる方は意外に多い?

塩ビ管の接着剤っていろいろ種類があるけど、何を揃えたらいいの?
という人も多いと思います。

昔使った接着剤が出てきたけど、これっていつまで使えるの?
という人も少なくないと思います。
接着剤の役割は接合だけではない
塩ビ管の接着剤で重要なことは、材料を接合する役割のほかに、もう一つ役割があることを知っておくことです。その役割とは何でしょう?【答えは後半で】
コツさえ知っていれば・・・
実は、塩ビ管用の接着剤は色分けされているので間違えて使うことは少なく、揃える種類もそんなに多くはありません。
また、その接着剤が使用できるかどうかは、コツを知っていればある程度判断できます。
ただ、接着剤の役割やコツを知らずに「くっつけばいい」と、つい自己流でやってしまいあとからトラブルになって後悔することになったり、余計な出費も増えてしまいます。
今回わかること
そこで今回は、塩ビ管の接着剤について解説していきます。
この記事を見ると、塩ビ管の接着剤の役割とその種類、それと使用できる状態の確認方法がわかります。
また、種類にあった専用の接着剤を使用しなくてもよい例外や、あると便利なアイデア接着剤も紹介しますのでぜひ最後まで見ていってください。
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接着剤の役割とは・・・
接着剤には2つの役割がある
塩ビ管はネジ継手と違い、パイプや継手の表面を接着剤に含まれる溶剤で溶かして接合しています。
その接着剤の役割が2つあり、一つは固定する接着剤としての本来の役割です。
そしてあまり知られていませんが、継手の奥までパイプを挿入するための潤滑剤としての役割です。
普通に挿入しても入りにくいですが、接着剤を塗布することでパイプや継手の表面に膨潤層と呼ばれるトロトロの層ができ、これを利用して奥まで挿入します。
うまく接着できない原因はこれ!
パイプを継手の奥まで挿入できないのは、この膨潤層が形成されない状態、もしくは乾燥して破壊された状態で挿入してしまい、失敗することが多いのです。
接着剤でくっつけるというよりも、むしろ奥まで挿入されてこそ抜けない接合になると覚えておきましょう。
- 固定支持するための本来の役割
- 継手奥まで挿入するための潤滑の役割
この2つを覚えておきましょう
接着剤は色分けされている
基本的にはパイプの色に合わせてある
ご存じの通り塩ビ管には種類があり、パイプの色で分けられています。同じく接着剤も缶の色で見分けがつくようになっています。パイプの種類と接着剤を間違えないようにパイプの色と接着材の缶の色は似ています。だから、間違えて使うことは少ないともいえます。
パイプにあった専用のものを使う
パイプにあった専用の接着剤を使用しないと、材料が想定どおり溶けてくれないので接合不良の原因となります。
だから当然のことながら種類にあった接着剤を使ったほうが良いというのは理解できると思います。
ただ、例外もあります。専用以外の接着剤でも使用できる場合もあるのですが、それは後で説明します。
パイプのメーカーと接着剤のメーカーは合わせるべきか?
なお、パイプや継手に合わせて接着剤のメーカーを合わせるべきかという疑問も出るかもしれませんが、メーカーを統一できるなら一緒にするに越したことはありません。ただ、メーカーが違っていたからと言って大きな事故になる可能性は低いと考えられます。あまり神経質にならなくてもいいと思います。
塩ビ管の関連動画
なお、塩ビ管の色分けや接合の方法については別の動画で詳しく説明しています。概要欄にリンクを張っておきますので、後からでもご覧下さい。
接着剤のポイント
それでは、具体的に接着剤について解説していきます。今回はポイントは3つあります。
1.接着剤の種類
接着剤の種類
一つ目は接着剤の種類です。
先ほど説明した通り、塩ビ管の接着剤はパイプの種類ごとに分けられており、大きく分けて、一般塩ビ管用、水道用耐衝撃性塩ビ管用、耐熱性塩ビ管用の3種類に分けられます。
一般塩ビ管用接着剤
一般塩ビ管とはVP管やVU管のことで、硬質ポリ塩化ビニール管グレーのパイプに使うものです。メーカーによって多少異なりますが、青色の缶が使われていることが多いです。以後VP管用と言います。
耐衝撃性塩ビ管用接着剤
水道用耐衝撃性塩ビ管用とは、水道用耐衝撃性のあるHIVP管に使用するものです。こちらはパイプの色と同じ紺色の缶で販売されていることが多いです。以後HIVP管用といいます。
耐熱性塩ビ管用接着剤
HTVP用は、耐熱性塩ビ管HTVP管に使用するもので、これもパイプ色と同じく赤茶色の缶をしていることが多いです。
接着剤の特徴
接着剤の特徴は、どのタイプもほぼ無色透明で、シンナーの溶剤の匂いがします。一般的に塩ビ接着剤は、低粘度速乾性です。
この低粘度速乾性のため、塗りやすくまた乾燥も早く、スピーディな施工が可能となります。
接着剤の使用上の注意
2つ目に接着剤使用上の注意点をかんたんに説明します。
安全性の面での注意
シンナー系の溶剤を使用しているので、換気しながら使用してください。締めきった部屋で使用すると中毒になる恐れがあります。
また、引火性の高い液体なので、火気にも十分注意してください。
品質面での注意
品質面では接着剤は種類の違うものを混ぜて使ってはいけません。成分が異なるため接着剤としての品質が保持できなくなり施工不良の原因となります。
また、接着剤は水が混入すると、樹脂が白く固まり著しく材質が変化します。接着剤に水が触れないようにすると接着剤は長持ちする秘訣です。
2.使用期限
接着剤には使用期限が設けられている
2つ目は使用期限です。
実は接着剤にも使用期限が設定されています。
これは、劣化しやすい製品などをそのまま使用しても接合不良の原因となるので、製品性能を保証できる期間としてメーカーが独自に設定しています。
製品によって違いますが、未開封で製造後1年〜2年程度です。製造年月日か使用期限は製品に記載されています。
使用期限が設定されない場合もある
劣化しにくい製品ついては、特に使用期限を設定していないものもあります。その場合は接着剤の状態(色、臭気、粘度)によって判断します。
使用期限よりも状態に注意
こういった使用期限は、一定の条件下での未使用の場合のものです。実際は開封してしまうと使用できる期間は当然短くなります。
理由としては溶剤に含まれる溶剤成分の揮発、外部の空気や湿気の混入などが挙げられます。
原因としては、使用後ふたや小口などに接着剤が付着し、それが固まると蓋が閉まりにくくなり密閉できなくなるからです。
溶剤成分が揮発すると、接着剤の粘度が高くなり、パイプも溶けにくくなります。そのため接合時にパイプの挿入が困難となる場合も少なくありません。
接着剤を使用するときは、使用前に接着剤の状態を確認するようにしましょう。
3.接着剤の状態
3つ目は、2番目でも説明した接着剤の状態です。
接着剤の状態には、正常な状態、使用してはいけない状態と使用上注意すべき状態があります。
使用してはいけない場合
まずは、次のような場合はその接着剤を使用しないようにしてください。
ニオイがしない場合
正常な場合は、接着剤や缶の内部からシンナー系の有機溶剤が揮発したニオイがします。そのニオイがしないものは有機溶剤が揮発してしまっている可能性があります。
使ってもパイプが溶けないため接着剤として使用できません。
ゼリー状になっている
正常な接着剤は、無色透明の低粘度の液体です。ゼリー状になったものは成分が固まってしまっているか変質している可能性があります。
また水や湿気が混じると、樹脂成分と水が反応して白く固まることもあります。
液体状態でない接着剤は成分が変質しているので使用できません。
正常な状態とは
それでは、正常な状態とはどんな感じでしょうか。
確認する方法がある
未使用のものでも、開封後のものでも正常な状態、つまり使用できる状態を確認する方法があります。一般的接着剤は低粘度速乾性ですが、その性質を利用して「目視」で粘度を確認する方法です。
塩ビ管の接着剤の蓋には塗布用の刷毛が付いていますよね。それを利用します。
引き上げた刷毛についた接着剤が落ちる様子を確認
その刷毛をゆっくりと引き上げると接着剤がついた状態であがります。時間の経過とともに接着剤が缶の中に戻っていきます。その落ちる様子を観察します。
正常な状態のとき、刷毛から接着剤は細く、早く流れ落ちます。低粘度の状態が保たれている証拠です。
溶剤が揮発し粘度が高くなると、接着剤は太く、ゆっくり落ちるようになります。溶剤が揮発している証拠です。
接着剤が流れるようなら使用は可能ですが、正常な状態よりもパイプが溶けにくくなっている可能性もあるので、接合には細心の注意が必要となる場合があります。
ちなみに、粘度を下げるために溶剤などで接着剤を薄めるのは、接着剤に悪影響が出ることもあるのでやめましょう。
おまけ
接着剤使用の例外
それではおまけですが、接着剤使用時の例外について解説します。
耐衝撃性塩ビ管用は一般塩ビ管にも代用できる
基本的にパイプにあった専用の接着剤を使用することは何度もお話ししました。
ただ、HIVP管用の接着剤についてはHIVP管のほかにもVP管やVU管にも使用できます。これは接着剤の使用説明書にも記載されています。
ただし、逆のパターンのVP用の接着剤はHIVP管には使用できませんので注意してください。
その他の異種管をつなぐときは?
また、VP管とHIVP管、VP管とHTVP管をつなぐという例もないとはいえません。例えば、既設のVP管にHIVP管をつなぐとか、VP管の系統にHTVP管を分岐するという施工例は実際にあります。
【HIVPとVPの場合】
今ほど説明した通り、HIVP管とVP管であればHIVP用の接着剤を使用すればOKです。
【HTVPとVPの場合】
VP管とHTVP管の場合は、給湯配管というよりもVP管の排水系統から分岐して食器洗い乾燥機を設置する場合が多く、排水はHTVP管を使用しますので、やむを得ない接合となります。
排水系統なので簡単には抜けませんが、熱収縮などで時間の経過とともに縁が切れる場合もあるので、接着剤は耐熱性をもったHTVP用を使うようにした方が無難です。
数は少なく点検できる位置で
こういった場合は点検のし易い場所で、かつ極力数を減らすようにしましょう。
HTVP管には排水用の継手もあるので、屋内においてはすべてHTVP管で行うという方法もあります。
最低でもHIVP用とHTVP用があれば足りる?
そういう意味からも、HIVP用とHTVP用があれば事足りるということになりますね。
色付き接着剤と高粘度接着剤
最後に便利な接着剤もあるので紹介しておきます。今回は着色接着剤と高粘度接着剤を紹介します。
色付き接着剤
塩ビ管の接着剤は、無色透明であると説明しましたよね。透明であるがゆえに塗り洩れや塗り忘れもすくなくありません。
特に仮組みしながら施工していると、つい塗り忘れることがあります。また確認するにしても接合部をよく見ないと接着剤を使ったかどうかわかりにくいのです。
こういった場合には、接着剤に着色したものを使うと便利です。今回は特によく使うものを2つ紹介します。
一般塩ビ管用接着剤ブルー
これは、一般配管用として使われる青く着色された接着剤です。一般配管用のため排水系統に使われることが多く、また水道などの飲料用には使えません。塗り忘れを防止するためにグレーのパイプに目立つように青いインクが混ぜてあります。接合後でも遠くから接着剤の使用が明確にわかり塗り忘れがなくなります。
ただ、注意点としては、パイプについた接着剤で汚れやすくなるので露出配管や化粧配管には向きません。また、手や衣服、そして作業現場も汚れると目立つので気になる人は養生を入念にするようにしましょう。
HIVP用接着剤(白)
続いてこれは、HIVP用の接着剤を白く着色したものです。
HIVP管は濃い紺色で暗めの色のため、透明な接着剤だと塗った部分がわかりにくいという悩みがありました。特に継手内部はさらに暗く塗り洩れが生じやすいものです。

接着剤を白くすることで、パイプとはコントラストが逆の明るい色なので、塗った面がはっきりと認識でき、塗洩れを避けることができます。
また、接合後でも接着剤の使用がわかりますし、接合抜けも発見しやすい特徴があります。
使用上の注意点は、水が混入した場合白濁がわかりにくいので、水の混入には注意して接着剤の状態の確認も入念にしましょう。
高粘度接着剤
これまで、説明してきた接着剤は低粘度速乾性のものでした。低粘度は塗りやすく小口径のパイプに向いています。
しかし、パイプのサイズが大きくなると、パイプと継手の抵抗も大きくなり、小口径と比較すると挿入が困難になる傾向にあります。
そのため、大口径の場合は高粘度接着剤を使用して接着剤の粘度も利用して挿入することがあります。そのため高粘度接着剤は大口径用とも言えます。
速乾型と遅乾型
高粘度接着剤には、速乾型と遅乾型があり、速乾型は寒い時期、遅乾型は暑い時期と分けて使うことができます。高粘度遅乾型は乾くのが遅いので夏場など暑い時期でも、乾燥しにくいので塗る時間をかせぐこともでき重宝します。
まとめ
それでは今回のまとめです。
今回は、塩ビ管の接着剤について解説しました。
塩ビ管の接着剤の目的は固定するための接着の役割と、奥まで挿入するための潤滑の役割の2つ役割があり、その役割を果たすためにはパイプにあった接着剤の使用はもちろん、正常な状態の接着剤を使用をすることの重要性もご理解いただけたと思います。
塩ビ管の接着剤は、わかりやすいようにパイプに似た色で分けられています。
なお、接合する前に一度接着剤の状態をみてから接合するようにしましょう。状態によっては使用できない場合もあります。その状態は、色、臭気、粘度によって判断します。
粘度の見方は刷毛をゆっくり持ち上げて、接着剤の流れ落ちる状態で判断すると使用できる目安になります。



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