パッキンの選定
今回は「パッキンの選び方」について解説します。
はじめに
こんな悩みが多いようです

パッキンって種類がいろいろあるけど、一つか2つででよくない?
っていう人多いようです。
また、

どれを選べばよいかわからない? そしてもし間違えると問題あるの?
という人も少なくありません。
重要なのは特性
漏れを確実に止める意味でも使用する状況や用途・特性に合わせて適正なパッキンを選ぶということが大切です。
そんなに難しくはない
とはいいましたが、実は一般家庭においては用途が限られているので、その求める特性も限られています。ですから特性を数点押さえておけばいいのでそんなに悩むことはありません。
ただ、どういった特性が必要かわからないという人や、特性を理解しないまま取り付けてしまった結果、思わぬトラブルなどで後悔をしてしまう方がいます。
この動画では
そこで今回は、パッキンの選び方というテーマで解説していきます。
この動画を見ると、必要なパッキンの特性やその特性が合わないとどうなるかがわかります。また、特性にあうパッキンや逆に合わないパッキンも紹介します。
作業性がよくなったり付加価値のある便利なパッキンも紹介しますので、ぜひ最後まで見て言ってください。
基礎知識
パッキンとガスケットの違い
まず初めにパッキンについて簡単に解説します。
パッキンというと、「それガスケットじゃない?」っていう人もいます。
パッキンだと間違いですか?とよく聞かれます。
正解を発表する前に、その違いについて解説します。
こういった漏れを止める材料や部品を、総称して「シール」材と言います。つまり、パッキンもガスケットもシールの一種なのです。
そしてパッキンとは、その中で動的なシール機能を持つ材料をいいます。動的シールとは、回転部や往復部など動く部分の漏れを止めるものです。例を挙げると、蛇口のハンドルの部分や、注射器のピストン部のシール材が該当します。
一方ガスケットとは、静的なシール機能を持つ材料です。これは、ペットボトルのキャップやエンジンやボックスなどのシールがガスケットです。
またねじに巻くシールテープも静的シールなのでガスケットに該当します。
どちらが正しい?パッキンだと間違い?
では、パッキンとガスケットのどちらが正しいか?パッキンだと間違いか?
の答えを発表します。
答えは、どちらでもいい。です。
水回りでいうなら敢えて「パッキン」でいい。です
厳密にいえばシール機能で使い分けることができますが、水回りではその違いさえわかっていれば良いのでどちらでもよいのです。
見分けさえできていればOK
実際、蛇口を例に挙げるとパッキンとガスケットが混在しています。
ねじ部や止水部のパッキンケレップなどはガスケットの一種です。ハンドル部や、回転吐水部はパッキンに該当します。
これを使い分けると逆にややこしくなりますし、もし間違えてもさほど影響がないし通じます。「パッキン?ガスケットならあるけど。。。」という人はまれですよね。
また、一般にパッキンという方がなじみがありますからね。便宜上「パッキン」と呼んでおけば無難なのです。部品メーカーでもパッキンで統一しているところもあります。その方がわかりやすいから。
ということでこの動画でも以後パッキンと呼んでいきます。(笑)
Oリングはガスケットにもパッキンにもなる
ちなみにこのパッキン、ガスケットの他に、Оリングというリング状のゴム輪シールがあります。これもシールの一種ですが、Оリングは動的シールにも静的シールにも使用されています。
パッキンの材質
つづいて、パッキンの材質についてかんたんに解説します
パッキンの材料は大きく分けてゴム系と非ゴム系に別れます。
ゴム系
ゴム系パッキンとは、弾力のあるパッキンです。ゴム系パッキンは、見た目は同じでも材質により特性がまったく異なります。
色により見分けのつくものもありますが、材質が違っても同じ色でほとんど見分けがつかないものもあるので、混ぜないように注意が必要です。
弾力性を活かし、手締め後に増し締めすることで漏れなくなります。逆に材料の弾性を生かせなくなるので締めすぎには注意が必要です。
組み立て初期であれば、パッキンに傷などがなければ分解後再利用することもできます。
水回りでは、主に5種類ほど使われます。
ニトリルゴム
ニトリルゴムは記号でNBRと記載されていることもあります。
見た目は黒色のゴムです。パッキンなどのシール材や使い捨て手袋の材料としてよく使われます。
ニトリルゴムは、シール材の中でもオイルシールとして有名です。そのため耐油性や耐摩耗性が高いゴムです。
エチレンプロピレンゴム
エチレンプロピレンゴムは記号EPDMと記載されていることもあります。
見た目はニトリルゴムと同じく黒いゴムです。反発弾性がよく工業製品に多く使われ、生産量も多く、市販の中で最も比重が軽いといわれます。
耐水性、対候性に優れています。ただし耐油性に劣ります。
このニトリルゴムとエチレンプロピレンゴムの2つがゴムパッキンの主流ですが、性質が全く違います。
その他には
フッ素ゴム
フッ素ゴムは記号FKMと記載されることもあります。
フッ素ゴムは、先ほどの2つの欠点を補うように耐油性、耐熱性、耐薬品性にも優れた材質です。そのため高温用にも使用されます。
色は黒いゴムで同じように見えますが、NBRやEPDMと比較すると価格が何倍も高くなります。
ちなみにこの3つは、見た目では判断しにくいため混ぜないように。
シリコンゴム
記号VMQ シリコンゴムパッキンは半透明なものが多いです。耐熱性や耐寒性に優れている。よく水筒や弁当箱などのふたにも使われています。
非ゴム系
非ゴム系はゴムのような弾性のない材料です。
材料の弾性ではなく面の圧縮反発、つまり密着させて漏れをとめます。
基本的に弾力がないので、ジョイント面とパッキンを密着させてレンチで適度な強さで締めこみます。
密着していないと漏れます。また一度締めこみしたパッキンは変形するため再利用はできません。
ノンアスベストパッキン
ノンアスベストパッキンは、固い弾力のない紙を固めたようなパッキンです。
規制されるまで発ガン性物質のアスベストで作られていたものを、アスベストの含まない安全な材料として改良されたものです。
シール性はゴム系と比べると落ちますが、面で密着させるためねじれに対しては強くなります。
このパッキンもニトリルゴムやエチレンプロピレンゴムと同様に多く使用されています。
青いもの、赤いもの、黒いものといろいろあります。一般的な性能はおなじですが、防食性、耐熱性、強度を高めたものもあります。
フッ素ゴムエチレンプロピレン(テフロン)
記号PTFE 通称テフロンといいます。テフロンで有名なのが、フライパンです。こびりつきを防ぐために使われるあのテフロンです。
白色で熱に強く耐久性、耐腐食性にも優れているのが特長的です。
具体的なパッキンの選定
注意すべき要素
では具体的にパッキンを選定するうえで必要な特性について解説していきます。注意すべき特性は今回4つ紹介します。
一般住宅の水回りにおいて、使用する流体は、水もしくは灯油など油類などです。また清掃などで使用する洗剤や薬品が排水に含まれます。
これらを考慮した特性として、耐熱性、耐油性、耐薬品性の3つは最低限押さえておくべきです。
耐熱性は、給湯配管の系統で温水や熱水の熱に耐えられることです。
耐油性とは、灯油やなどの油脂類の影響を受けない、または受けにくいということです。また食品に含まれる油脂類も含まれます。
耐薬品性とは、洗剤などに含まれる薬品などに侵されにくい性質のことです。
また状況に応じて、これらは複合的に考える必要もあります。
では特性が合わないとどうなるのでしょうか?
特性が合わなくてもパッキンはパッキンなので漏れを止めることはできます。ただ、耐性がないので寿命が極端に短くなる場合があります。
耐性がない場合、加水分解や溶解という現象を起こします。加水分解とは、水と反応して物質が分解されることです。ゴム状のパッキンがボロボロになり、炭状に炭化します。ひどいときは細かい粒子となり墨汁のような黒水が発生したりします。
溶解とは、薬品などにより成分が融かされることです。
どちらも時間の経過とともに劣化していきます。
また、4つ目の特性として、用途に限らずねじれに対する特性も必要となってくる場合もあります。ねじれとは、何かの衝撃や動きによってシール部分がねじれる場合、耐性がないと漏れてしまうことがあるからです。
それでは、これらの特性に合ったパッキンとそうでないものについて解説します。この特性の適合については使用条件によって多少異なるので、一般論の解説となります。
耐熱性
耐熱性に優れたパッキンといえば、フッ素ゴム系のパッキンが有名です。その中でもテフロンパッキンが有名です。色は白いパッキンです。
また、シリコン系のパッキンも耐熱性に優れています。
逆に耐熱性に難があるのは、ニトリルゴム系、エチレンプロピレンゴム系とノンアスベストパッキンです。使用温度帯は100℃をきるものもあり使用には注意が必要です。
耐油性
耐油性に優れたパッキンは、ニトリルゴム系とフッ素ゴム系です。ノンアスベストパッキンも耐油性があります。
耐油性に難があるのは、同じゴム系でもエチレンプロピレンゴム系、天然ゴムなどです。
耐薬品性
耐薬品性に優れているのは、フッ素ゴム系とエチレンプロピレンゴム系です。
これ以外のゴムパッキンは薬品に弱くなります。
このとき特に見逃しがちなのは、水道水に含まれる塩素です。水道水には法律で塩素を含むよう規定されています。この塩素がパッキンの寿命に悪影響を及ぼすことが問題視されています。薬品を使用しない給水管などにおいても耐塩素性を考慮したパッキン選びも必要となります。
技術も進み、塩素にも強い水道用「耐塩素水性」パッキンも開発されています。
耐ねじれ性
耐ねじれ性に優れたものはノンアスベストパッキンに代表する固いパッキンです。これらのパッキンは、がっちりと締めこむため面が密着しています。
逆にゴム系の弾力あるパッキンはねじれに弱い性質があります。ゴム系は弾力により漏れを止めているためねじれに弱いのです。
注意すべき点
応急措置後は適正なパッキンに
耐久性を求め寿命を延ばすため、特性のあったできるだけ適正なものを選びましょう。
緊急時に使ったもので特性が合わないものがある場合は、速やかに交換することをお勧めします。放置すると忘れるのでお早めに。
サイズと厚み
特性が違っても使えますが、サイズや厚みが違うとそもそも使えないということもあります。
配管用のパッキンは、サイズが規格で決まっているので、そのサイズを選べば合うはずです。厚みは種類も少なく、多少の誤差があっても使用できるはずです。
ただ、器具などのパッキンは器具によってサイズや厚みが違う場合があります。器具などは部品として規格外のメーカー独自の規格になっていたりします。
サイズが合わないと入らなかったり、入っても漏れる恐れがあります。また、厚みが違うと締め付けができない場合もあります。
こういった特殊なパッキンは入手も比較的困難な場合もあります。器具の品番で検索し取り寄せしたり、同じサイズのものを照合したりして探します。入手できるときに予備のパッキンも備えておくといいと思います。
永久的ではない
パッキンを使用するときは、永久を求めないことです。いずれ漏れるものという認識があった方がよいです。
そういった観点からも、隠ぺい部には使用しないことです。見やすい場所や点検しやすい場所で使用し、たまに覗いてみることです。
もし漏れていたり、滲んでいたら早めに交換するようにしましょう。
万能ではない
万能に近いパッキンはあるにはあるのですが、完璧なものはありません。また、売っていない場合もあります。どのパッキンもメリットデメリットがあります。
必要なのは、あるものの中でいかに特性が合うものをうまく利用できるかです。
おまけ
それではおまけですが、こんな便利なパッキンもあります。
リブ付きパッキン
通常のパッキンは平たい面のパッキンです。
リブ付きパッキンは、面の部分に山があり盛り上がっています。このためシール性が高くなります。
つば付きパッキン
よくあることですが、パッキンをナットに挿入していざつなごうとすると、ぽとっと落ちてしまうことがあります。特にやりにくい場所では結構ストレスとなります。
つば付きパッキンには、パッキンの外側に突起物が4か所ほどついています。これがあることで、ナットに挿入するとねじ部に突起物がひっかかり落ちにくくなります。
それにより作業性があがります。
ストレーナ付きパッキン
ストレーナ付きパッキンは、パッキンに網(ストレーナ)がついたものです。これを使用することでゴミの侵入を防いでくれます。ゴミが侵入して異常をきたすと困る部分市使用されます。
例えばトイレの給水のジョイントやシャワーのジョイント部に使用されています。この部分のパッキンにはストレーナ付きを使用しましょう。
定流量パッキン
定流量パッキンとは、文字通り一定の流量に調整するためのパッキンです。高層ビルやポンプの圧力により高圧で大量と流れる場合、細い管では騒音がでることがあります。
そこで、パッキンの代わりにこれを使用することで、騒音を軽減できるようになります。
器具に接続する13㎜の管に使用できるものが多いです。またこのパッキンには向きがあります。
まとめ
はい、それでは今回のまとめです。
パッキンの選定についてはその特性にあっているかということが大切です。
パッキンはシール材の一つで、回転や往復などの動的シールを「パッキン」、はさんでその収縮を利用して止めるものを「ガスケット」といいます。
ただ、パッキンの方が認識されていて、また混在して使うことから水回りでは「パッキン」と呼ぶ方がなじみがあります。
パッキンは長期的使用においては弱点が出ることもありますが、どれを選んでも漏れを止めることは可能です。緊急な場合はあるものでとりあえず応急措置してあとから適正なものに変えておくとよいでしょう。
器具のパッキンは特殊なサイズがあるので、市販品と合わない場合は器具の部品として取り寄せましょう。
永久に使えるパッキンはおそらくありません。また、万能なものもありません。
パッキンはいつかは漏れるものという意識で、たまに点検するようにして漏れたらすぐ直せるようにしておくと、安心して生活できるともいます。
それでは。今回はこれで終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。


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